『クリムゾンの迷宮』を読んだ
職場の同僚に借りた本。すっごい怖い本だから、家に置いておきたくなくて・・と半ば強制的に渡された本ですが、読み始めたら止まらなくて、すごく面白かったです。
『クリムゾンの迷宮』
作者:貴志祐介
貴志祐介って、京都大学経済学部卒なんですね。オーストラリアの動植物や狩の方法など、本の中に詳細な説明があるけれど、その博識ぶりは京大出身だと聞いてなるほどと思いました。
1 あらすじ
主人公、藤木は異様な風景の世界で目を覚ました。そこには水筒とランチボックスと、ゲーム機が置かれている。ゲーム機のスイッチを押すと、「火星の迷宮へようこそ」と書かれた文字が映し出された。そこから、藤木は8人の他のプレイヤーと出会い、生き残りをかけたゼロサムゲームに参加することになる。
2 面白かったところ
*登場人物のキャラクターがはっきりしている
サバイバル力に溢れ、論理的に物事を考える藤木。要所要所で良い判断をする藍。うまく場をまとめる野呂田。やけにつっかかる船岡と安倍芙美子、など。
基本的には藤木と藍が2人で行動して話が進んでいくのですが、途中でその他のプレイヤーと出会った際の各人の行動や変貌ぶりが、話を面白くさせています。
*段々と現実味を帯びる描写
初めは、火星のような摩訶不思議な場所が舞台で、現実的な話ではないかと思ったが、実はバングル・バングルという国立公園(実際にオーストラリアにあり、パーヌルル国立公園とも言うそうです。写真を見ると、描写がそっくり)にいるということが分かってきます。
また、途中で見つけたゲームブックに出てくる話では、バッドエンドで人喰種に襲われるとあり、藤木は初めは人喰種の存在を否定しますが、薬物等の影響で本当に人喰種が存在する現実を知ることになります。
この、恐ろしい状況は全くの空想ではなく、お金をかければ実現可能な世界であり、そのゲームは中継されており人を楽しませているということも、更に話の恐ろしさを加速させています。
*違和感が後に解決される
野呂田がゲームが始まった時から仕切る姿がスムーズすぎて、こんな状況でも冷静に場をまとめる人がいるんだ、すごい!と思いましたが、後でその理由が分かり納得しました。
また、食料を求めるルートを選んだグループが一番恐ろしいと途中でゲーム機が示した理由も、分かった時は主人公と一緒に背筋が凍りました。
話の所々で沸いた疑問が、後に回収されていくのは、面白かったです。
読み終えた晩は、布団の中でも考えてしまうほど衝撃的な心に残るホラーでしたが、主人公の危機迫る展開に目が離せなくて引き込まれて、一気に読んだ本でした。
ホラーやグロい系がすごく苦手ではなければ、おすすめしたい本です。